アカメ釣行記 ㉑数釣りカズヤの逆襲 ~31匹目 ミノウオ降臨、また逢う日まで~
最終日
旧友が釣れたのはカズヤのポイント発見の功労が大きい。ラーメンをご馳走した。
カズヤは浮いた昼飯代で当たりのワームを買い込んだ。
俺に買わないのかと悪魔の囁きをかましてくる。
10秒悩んだ。
買わない。そんなものは自分のスタイルにはない。
85オグルがすでにエサ状態のなか、ワームに手を出して小さいアカメを釣るのは女々しい。
それで仮に、カズヤより釣ったところで残るのは虚しさだ。
そう自分に言い聞かせて、デカオグルとフックを補充した。
ポイント到着。
先行者がいた。
とても心が広い人で夕方までで帰る、遠征組に夜は譲ってくれると言う。
しかも一緒に投げてもいいと。
もちろんその先行者はハードルアーしか使わない。それでも当然釣れていた。
カズヤは当然のようにワームで速攻釣る。
これには先行者も苦笑い。
プラグで頑張って釣るのが馬鹿らしくなるね、と率直なコメント。
カズヤが投げまくる中、先行者の方と色々談笑し、この方が如何に面白くアカメを釣るかが伝わった。スラスイ250やメガドック、時にはジャークベイト、ハードルアーを中心とした釣り。
そしてすべてシングルフック、そしてバーブレス。
正直、ド派手にエラ洗いするアカメにビッグベイトでバーブレスは少し怖い。
ただ、魚への思いやり、それで外れたら腕が悪かっただけだと仰る先行者の方にただ脱帽するばかりだった。
夕方になり、先行者はお帰りになられた。
帰り際、今晩は荒れる。だからきっとデカいのが来る。頑張ってとお言葉頂いた。
人には人それぞれの考え方、イズムがある。
釣れればなんでも良い。
アカメの泳がせ釣りが増えている。ワームはまだマシなのかもしれない。
合理化のみを追い求めた先に何があるのか・・・
自分は自作オグルを時々投げさせてもらった。
当然アタる。が、乗らないことも多い。
これは意外とアカメがすぐにルアーを吐き出しているからとの先行者談。
そしてロスト。渾身のウッドオグルが、、、
数釣りを馬鹿にした罪か。
オリジナルの85オグルを投げる。
ここでドンとアタリと共にすぐにわかる重量感。こいつは獲りたい。
マックスに近いドラグが出る。
寄せにかかってきたその刹那。
首振り一撃でバレた。
シングルフックがしっかり掛かって外れるのか?
疑問を感じながら巻いてくるとスプリットリングが飛んでいた。
なんと言うパワー。そしてリングの交換を怠っていた自分をただ責めた。
慢心。
初日の杭も然り。
まぁイケるだろうではダメなのだ。
慢心の末に残るのは後悔だけ。
この85オグルも後にロスト。
デカオグルに切り替え、ぶん投げる。
この時、カズヤはすでに82センチ、ヒロムも78センチをキャッチ。
3人で写真を撮りたいねなんて話していたから、残すは自分がそこそこサイズを釣るだけだった。
風が吹いた。
最終日は一番天気が荒れ、時には風速7mを超えた。
風のおかげか、満潮からの下潮は昨日より緩く流れた。
ここで待望のヒット。
デカオグルなのに50少しのサイズ。
悔しいがせっかくだからと3人で写真を獲れるようストリンガーに繋いだ。
更にその後の2投目、サイズアップし70up程度のアカメをデカオグルで。
バス釣りのように魚を入れ替える。
こんなことがあっていいのか、、、
然しこのままでは大きいのは釣れないまま終わってしまう
そう感じた自分は敢えて当たっているポイントを外し、いつもの暗闇爆投スタイルに変更。
追い風の中、アップストリームに渾身のフルキャストをする。
アンタレスDCMDにはPE4号が90m巻かれているがスプールの底が確認できるほどの飛距離が出ている。
確認したところ、着水から100巻き程度で回収。
70m程度は飛んでいるだろう。
今回の遠征、5日目にして最長飛距離。
育児休業開始以来、日々はるちゃんをあやす、寝かせつけるための育児トレーニングをして鍛えた身体は肩と腕が強くなったように思う。
思えば山形でも庭の石取りの為にクワを振りまくってもいた。
鍛えていた身体が出せる最高の飛距離。
風に乗せて、遥か遠くの暗闇にキャストを繰り返す。
間違いなく今までで一番飛んでいる。
一投一投、真剣にぶん投げる。
80mいったのではないか?スプールの糸残量が危険な域に。
着底と同時にリフト&フォール。
コンッ
小さな当たりだった。
集中していた自分は渾身の鬼アワセをくれてやった。
流れに乗ってスルスルと寄ってくる。
これも小さいのか?
しかしただならぬ予感がした。
ヒロムにサポートを依頼する。
彼はすぐに駆けつけてくれた。
去年、大物をバラした時、彼は遠くにいた。
叫んで呼んだ。彼は全力で走って来てくれたが、間に合わなかった。
正直、あの時は自分の弱さが出てしまった。
今度は違う。
サポートを以来しつつも自分一人で獲るつもりでのファイトだった。
寄ってきた。
ヴォゴヴォゴ!
ミノウオのみ出せる重量感ある音から戦慄が走る。
デカイ。
絶対にバラしたくない。
ルアーはどうやら口の中。
慌てず少しドラグを緩めて、走らせる。
圧倒的パワー。
少し落ち着いたところでサポートのヒロムに合図を送る。
アカメ用の130ポンドSpecialボガグリップを手に、慎重にヒロムの目の前に誘導した。
ボガが口に入る。
しっかりと、確実に嵌め込まれたボガをヒロムが握る。
すごいパワーで暴れるアカメに翻弄されながらも、ボガのリーシュコードを自分の腰ベルトに取り付け、ボガを手渡してくれた。
喜びが込み上げる。
我々以外、誰もいない、だだっ広い河原で雄叫びをあげた。
自己新記録ではなかったが、四万十でメーターを獲るという夢が叶った瞬間だった。
30歳、妻の応援もあって漸く叶った夢を噛み締めた。
まずはヒロムとカズヤと握手。
本当にありがとう。
ヒロムとは4年間ずっと追い求めた夢だった。
魚が回復したところで撮影会。
その後釣りを続行するも風は強くなり雨が降りはじめた。
カズヤはもう帰りたいと。
自分はヒロムと約束している。
ホテルにはヒロムの車で行くことでカズヤを帰す。
ヒロムは投げ続けた。
最後まで投げ続けた。
そして約束のメガドックポイントに移動。
出そうな雰囲気はある。
小雨が降る中、ドバーンと豪快なキャストを繰り返す。
自分はスラスイ250をぶん投げた。
一度アカメのチェイスがあるも、、、
やりきった。
いい朝だった。
ホテルに向かう。
ヒロムと別れを交わし、最後のアカメ遠征が幕をとじた。
今回の爆釣劇、カズヤは17匹のアカメを釣った。アベレージは70ぐらいだろうか。
自分は5匹。
生涯で15匹のアカメを釣った自分と3日で17匹のアカメを釣ったカズヤ。
でも全く悔しくない。
恐らく、ワームでの釣りは小さい個体を先に掛けてしまい、大物が釣れる前に場荒れが発生する。
そして、デカオグルは飛距離は出るが、超大型を食わせるには、もう一回り大きい方がいいのかもしれない。
ピンでビッグベイトを投げてる人がデカいアカメを釣っているのはそういうことなんだろうと思う。
3日間で31匹。最大魚は31匹目の104cm。
最後は大きさでカズヤを圧倒できたことで映画のような展開の釣行になった。
いつかまた逢いに行きたい。
【タックルデータ】
Rod:ワールドシャウラ ツアーエディション 1754(シマノ)
Reel:アンタレスDCMD XG Left(シマノ)
Line:アップグレードX8 PE 4号(よつあみ)
Leader:万鮪プレミアム 20号 (クレハ)
Lure: AOG120SLM(ラパラ)